若い時期に有能な人々に高い賃金を払い、その後の上昇カーブを平坦にするという年齢勤続−賃金プロファイルの修正は、マクロ的に見た日本の経済社会構造の高度化。成熟化から見ても合理的である。これまでの年功的賃金の下における時間をかけた昇給カーブは、ひとつの企業に長い間勤め上げれば定年までには自分の家がもてるという生涯生活設計に見合った賃金であった。これは日本経済が発展途上にあり、とりわけ住宅ストックが乏しい時代に普及し定着した賃金プロファイルである。
(参考情報)
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ところが、今日の日本経済はすでにその段階をはるかに通りこしている。住宅ストックについて見れば、数だけで言うなら、現在、日本の家族の総数は約四〇〇〇万世帯であるのに対して、住宅の数は四二〇〇万戸を超えている。いうまでもなく質的水準の低い住宅もその中には多く含まれており、今後、住宅の建て替えやリフォームはひきつづき進めるべき余地が大きいが、かつてのように住宅が極度に不足しており一生かからなければ住宅を手に入れる事ができないという時代ではなく、潤沢な住宅ストックの蓄積した先進国型の経済になった事はたしかである。このような住宅ストックの存在を前提にすると、若い有能な人々は早くから住宅を入手する事が合理的である。賃金プロファイルもそうした住宅の入手を可能にするよう再設計される事が望ましい。