勝負の日のスーツは都会仕様と心得たい。逆に、終日、接客のないデスクワークの日や、たとえば、地方での視察日などのスーツなら、オフシーズン仕様で。また、スーツの着心地の良さは、袖や上衣・パンツの裾の「正しい丈」に通ずると思われる。このグッドバランスは、見た目の美しさにも反映されるから、正しい長さを確実に覚えたいものだ。デザインによって、またトレントによって、変化することもあるので気をつけたい。そして、スーツの上着のフィット感は肩次第、と言っても迦言ではない。わたし自身も、対面したひとをひと目見たとき、まず、ショルダーラインを見ることがとても多い。なで肩の日本人はオーバー気味の肩のデザインを選びがちだが、肩だけ浮いている感のないものをセレクトしたい。肩のシルエットはスーツスタイルの印象を左右する、大切な要素なのである。
欧米のブランドビジネス方式と同じく「ライフスタイル提案」の方式なのだ。これはあくまでも、店舗展開がライフスタイル別のトータルMDであるためだ。この点では日本のアパレルのダイジングとは全く異なっている。日本のアパレルは単品別や商品アイテムごとの縦割マーチャンダイジングであるため、そこでは主張も思想もない商品作りである(一部にはライフスタイルの提案企業もあるが、単なる洋服だけの提案で生活全体の提案となっていない)。最近、SPAが開発しているメガストア(専門大型店)では、ライフスタイルの提案がしやすく、フルラインの商品MDが可能となっている。たとえば、Aというブランドがある。そこには紳士、婦人服、子供ベビー服まである。しかもそこには靴、カバソ、時計、スポーツ用品、寝具など多様なものを一つのライフスタイルにまとめて提案している。
背景の裏には、ふたつポイントが存在する。ひとつはヨーロッパに鉄道が敷設されたこと。それによって人々が田園や海水浴を気軽に楽しめるようになり、そのための新たな服が求められたことである。馬車から鉄道への旅のスタイルの変更によりトラベルウェアが、さらに滞在先のリゾートで楽しむ「田園服」(リゾートウェア)が生まれ、この時代から、いわゆる現代風カジュアルウェアの種類が増えていく。もうひとつは、スポーツの隆盛だ。1880年代に、自転車、ローンテニス、ヨットが英国で流行し、そのためのセーターの類が、さまざま誕生した。色も、黒からカラフルな色彩に変わり、これは豊かになった人々の、まさにカジュアルな気分を反映したものである。